自社焙煎ヘーゼルナッツペーストで作るジャンドゥーヤタブレット

ヘーゼルナッツは、量販店などで単体として販売されていることを見かけるのは皆無のように感じます。塩味をつけたローストナッツ類にもラインナップされることなく、我々お菓子屋の軒先でようやくその姿を見かけるようになる。一般的には少し遠巻きな存在ながら、お菓子屋にとっては欠かせない存在と言っても過言ではないと思います。
特に、プラリネと呼ばれる、ナッツをローストしてキャラメル状になるまで糖衣させたものを粉砕、ペースト状にしたものにおいては、アーモンドとヘーゼルナッツ共にマストアイテムと呼べると思います。

ペルシュでも人気のアイテムとして挙げられるのが、コキーユサブレショコラノワゼット(パムッカレ)
ふたつのフールセックに共通するのが、ヘーゼルナッツベースのサンドチョコレートを使用していること。
じゃあ、このサンドチョコレートとは何か?ということになるのですが、これこそがジャンドゥーヤなのです。

イタリアではジャンドゥーヤが包み紙に巻かれて販売されていて、カタチによって呼び方も違えば、当然お店それぞれのレシピで様々なジャンドゥーヤが存在するのです。

今回ご紹介するジャンドゥーヤは、一般的なジャンドゥーヤがミルクチョコレートとブレンドするスタイルであることに加え、ホワイトチョコレートを混ぜ合わせたスタイルの、二色のヘーゼルナッツチョコレートを組み合わせています。

*サブレショコラノワゼットについてはこちらの過去記事でも紹介しています
*コキーユはブログ記事で紹介しています。こちらからどうぞ

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自家製ヘーゼルナッツペーストで作るジャンドゥーヤ

今回、特別なジャンドゥーヤタブレットを制作するにあたって、イタリアピエモンテ産のヘーゼルナッツを素材として使用します。
ヘーゼルナッツの薄皮がところどころ残っていますが、完全に削り取ってしまうと、ナッツの旨味もなくなってしまうのだそうです。
これはさながら、純米吟醸の日本酒の磨きに通ずる話で興味深いところでもあるのです。

2019年現在、ヘーゼルナッツのロースト方法は、140度のスチームオーブンで火力を抑えた設定にしてゆっくり焼成します。
高温だとロースト感が際立ち、ヘーゼルのニュアンスが妙に際立つからです。また、ロースト加減は必ず何個か割ってみて、中の色合いを確認します。

焼き上げたヘーゼルナッツは、真空カッターで摩砕してなめらかなペースト状にしてから、粉糖、きび砂糖、カカオバター、ミルクチョコレートを加えて混ぜ合わせます。
ここで使用するミルクチョコレートは、DOMORI社、タンザニア産のものを。ほんのりとしたシナモン香、かすかなタンニンにも似たフレーバーをまとったチョコレートは、出来立てのジャンドゥーヤよりも、しばらくおいて熟成させた方が味わいが熟成されていくようです。

摩砕して出来たヘーゼルナッツペーストを、ホワイトチョコと合わせてテンパリング。
ホワイトチョコレートは甘さが強いので、糖分の追加はしませんが、保形性のためにカカオバターは加えます。粉乳のバターミルク感が強く感じられる、BARRY社のものを。ヘーゼルナッツペーストを加えても、テンパリングの作業温度は合わせるチョコレートに応じます。

モールドトレーにジャンドゥーヤブランを流し入れて、結晶化させたら

ミルクタイプのジャンドゥーヤをテンパリングしたものを流し入れて全体を覆います。

ピエモンテヘーゼルナッツは、キャラメル状になるまで絶えず火にかけてキャラメリゼ

キャラメライズ出来たら直ぐに鍋から空けて、熱いうちばらして冷ましておきます。

前述のサブレショコラノワゼットは、このキャラメリゼしたヘーゼルナッツを挽いた、粗挽きのプラリネをミルクチョコレートと合わせてジャンドゥーヤにしてサンドするのです。

ジャンドゥーヤが固まりきらないうちに、キャラメリゼしたヘーゼルナッツを散らして、まさに「尽くし」のタブレット、ジャンドゥーヤ!ジャンドゥーヤ!!が出来上がるのです。
原料の選別から加工までを自社で行い、カタチに仕上げるというのは、ひとつの理想形だとペルシュは考えております。ジャンドゥーヤがより身近で愛される存在になるきっかけになれれば幸いです。


長野県はイタリアピエモンテ州と同じ経緯度だということもあり、栽培にも適した環境だということで、ヘーゼルナッツ国産化に向けての取り組みが始まっています。
私自身、菓子業界に入ってからずっとジャンドゥーヤが好きで、それがキッカケのひとつだったと思うのですが、原料として興味を持ち、それからいろんな果樹や果実を栽培する農業について学びたく、いろいろと産地訪問などを重ねたり、現場にお邪魔させていただいたりと、自分なりに密接に関わるほどに、今置かれている一次産業のいろんな環境の変化や実情を見聞きしてきました。

良いものを使うとういうことは、良い環境を整えること、保全でもあったりするのですが、それ以上に現状にあぐらをかいてはならないと思います。
以下にヘーゼルナッツ栽培についてのクラウドファンディング(2019年)についてリンクをご紹介します。ご興味のある方はぜひご一読くださいますようお願いいたします。

ヘーゼルナッツの国産化が100年後の長野の農業を変える

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