ダークチョコレートの味わいについて、伝統菓子フォレノワールで解説します

ブラックチョコレート

ダークチョコレートとも、ビターチョコレートとも表現されますが、個人的にはカカオの苦味や酸味を感じるもの全般。という風に捉えています。

これらの風味とは、カカオマスに起因している。ココアパウダーがカカオマスの粉末だと思ってください。
*チョコレートのはてなをまとめた記事へはこちらからどうぞ

一般的に食べやすいとされるチョコレートは、ミルクチョコレートだと思います。
かのピエールエルメ氏が、当時フランスパリで邪道とされたミルクチョコレートの美味しさを世に知らしめた、ヴァローナ社のジヴァララクテ。当時はハイカカオ、40%のミルクチョコレートがブームを巻き起こしました。

適度に食べやすい、甘みとカカオ風味のバランスの良さではなく、レシピや素材の組み立てを意識しながら、今回は少し敬遠されがちな(小さい子どもさんなどは苦手なようです)ブラックチョコレートにフォーカスを当てます。

カカオマスは、カカオを発酵させることで、その風味が強く感じられる傾向にあるようです。
その個性的な香りが、人によってはお酒が入っているように感じることも珍しくありません。
そして、単一品種カカオの普及により、その味わいがより個性的に進化してきています。お酒、ワインなどのように、より嗜好性が強まってきているのも事実。タブレットチョコレート、ビーントゥバーの流行は正に単一品種カカオの波及によるものでしょうね。

タイトルでも記したフォレノワールは、古典菓子に分類され、キルシュ風味のクリームとココアスポンジ、落ち葉に見立てた削ったチョコレートで構成されたもの。
今期もその伝統的構成は崩さず、素材との組み合わせを最高のものにする試みで仕上げたチョコレートケーキ。

今回は単一品種チョコレートガナッシュをサンドした、ペルシュで人気のマストアイテム、マカロンを用いてのフォレノワールを表現しています。併せて御覧下さい。

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伝統的なフォレノワールをモダンスタイルに構成する

チョコレートムースの仕込み

今回の仕込みでは、アングレーズクリームとエクアドル産カカオのチョコレート、ボイルメレンゲ、ホイップクリームを混ぜ合わせて仕込みます。
エクアドルカカオのチョコレートは、カカオ分70%程度が平均値として流通していて、これを使用する場合、どうしても油分が高くなり食感や味わいが重くなりがち。
重厚な味わいに留まらず、食べやすさも意識する措置として、メレンゲを加えて軽さも両立するのが今回のレシピ構成の要の部分です。
イタリアンメレンゲのように甘さも軽減されて、ボディーも緩やかなボイルメレンゲがここでは重要な役割を果たしています。

*ボイルメレンゲについての詳細をまとめた投稿はこちらから

*アングレーズクリームについての詳細をまとめた投稿記事はこちらから

チェリー風味のホイップクリームの仕込み

生クリームにブルボンバニラの香りをまとわせる目的で、一緒に火にかけて香りを抽出し、ゼラチンを加えたらキルシュを加えて風味を整えます。

キルシュとバニラの風味の中に低脂肪ホイップクリーム、そして先ほどムースショコラでも使用したボイルメレンゲを加えてふんわりと混ぜ合わせます。

チェリーコンポートは、グリオット、サワーチェリー、アマレナチェリーの3種類を合わせて煮詰めたものを加えて仕込んだもの。

チェリー風味のクリームにもメレンゲ入りクリームを加えて仕上げるのは、ムースショコラと同じようなクリームの構成に仕上げることで、口どけの速度変化が大きく生じないようにするためです。すなわち、チョコレートの味わいとチェリーとキルシュ、バニラの風味がひとまとまりで口の中に広がりをもたらして欲しい。そういったレシピ構成を目指しているからです。

フォレノワール
バレンシアアーモンドパウダーとチョコレートガナッシュ、バターたっぷりのケークショコラを土台に。
ペルー産カカオを使用して仕込んだチョコレートシャンティを絞り出し、カカオの苦味と酸味をまず最初に感じていただきます。
チョコレートホイップクリームにすることで、気泡をたくさん含んだ状態になり、口どけもその分穏やかになるので風味の余韻も感じやすいのではないでしょうか?

薄く伸ばしたチョコレートディスクで仕上げて、カカオらしい、重厚な世界観を表現しました。ほんのりキルシュの風味もお楽しみいただけると思います。

マカロンをデザインする

レシピ考案の際、日持ちのことや商品の特性を考えて、そのお菓子にフィットしたものを考えていかなくてはなりません。
ペルシュのマカロンショコラのガナッシュは、柔らかさを特性とし、チョコレートよりも生クリームが20%ほど多く配合されています。また、ガナッシュのつなぎにもなるバターはごく少量に留めているので、コック(マカロン生地)との口どけの相性も良いです。

これを踏まえて、香りが立ちやすい素材、タヒチバニラ、トリモリンを加えて火にかけ、沸騰したらラップ材で覆い、香りをしっかりと抽出します。

エクアドルカカオのチョコレートに注ぎ入れて、ガナッシュが仕上がった時に、刻んだスリーズ(チェリー)のコンフィを刻んだものを加えて混ぜ合わせます。
製菓用のチェリーといえば、キルシュ漬けグリオットチェリーがポピュラーですが、ここではタヒチバニラの香り、エクアドルカカオの香り、すでに上質な香りがふたつ成り立っているので、単純にチェリーはフレーバーとして加えたい。というのが狙いです。当然、甘みが強くなりすぎないように配合するのも大切なこと。アロマとフレーバーのバランスには常に注意を払います。

黒い森をイメージしてのツートーン。ではなく、ガナッシュの黒も合わせると三色使いのマカロン。最初に紹介したフォレノワールの断面構成から色のイメージがうかがい知れますね。

マカロン フォレノワール
プティガトーでは表現しきれなかった、カカオそのものを副素材と組み合わせることで産まれる、ペアリングに対しての挑戦でもあります。アルコールもここでは排除しているので、よりエクアドルカカオの味わいが楽しめるかと思います!

*マカロンについて言及した、ペルシュオーナーブログ、こちらから

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この記事を書いた人
グーちゃん

福井県鯖江市でケーキ屋を営むシェフが、お菓子についての疑問を幅広く解説することを代弁する小鳥。

現場で培った経験はもちろん、ケーキ作りで欠かせないレシピ作りの構成、素材に対しての向き合い方。
時々自身のブログではお菓子作りを通じての活動や日々感じたことも紹介しています。

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