レモンとプラリネノワゼットで作る古典パティスリーの創造

レモンの収穫最盛期といえば、冬から春にかけて。その酸味は夏にさっぱりとさせたいような印象が強いですが、旬の食材を取り入れた季節のケーキを常々提案し続けているペルシュスタイルでは、早春のまだ肌寒い時期に楽しんでいただけるようなメニューを考案しました。

レモンとヘーゼルナッツ。

レモンの酸味に、ヘーゼルナッツプラリネを組み合わせるバリエーションは、ヨーロッパではすごくポピュラーで、濃厚でヘヴィな味わい。明確なメニューこそありませんが、クラシックな味わいとして親しまれてきたお菓子を自家製プラリネとペーストでオリジナリティ溢れる味わいに仕上げて提案します。

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クレームレジェールとアレジェ。二種の軽やかな要素を取り入れる

レモンとキャラメルのチョコレートクリームは、ミルクチョコレートにキャラメルバター、レモンを組み合わせた、このお菓子の土台になり、アクセントにもなる大切なパーツ。

グラニュー糖を焦がし、さいの目に切ったバター、温めた生クリームを順に加えて仕上げたキャラメルと、ミルクチョコレートを合わせてガナッシュの様に混ぜ合わせます。

チョコレートとキャラメルはきちんと乳化状態に仕上げておき、レモンジュースを数回に分け、ガナッシュと静かに合わせていきます。
この時、ミルクチョコレートに含まれる粉乳とレモンの酸が抗酸化作用を引き起こし、ザラつく原因を引き起こすので注意が必要です。ガナッシュの乳化状態を損なわないように、少し温めて使用します。

ヘーゼルナッツのパウダーは低温のオーブンでローストしておき、削ったレモンの表皮と合わせてビスキュイダックワーズを焼成します。

キャラメルとレモンのガナッシュは冷蔵庫で一晩置いて結晶化させてから絞り出し、型抜きしたレモンのビスキュイダクワをセットして冷凍庫でしっかりと冷やし固めます。

クレームレジェールの仕込み

カスタードクリームとふやかしておいたゼラチンを合わせて、アーモンドミルクシロップを注ぎ入れて風味付けします。

ちなみに、クレームレジェールという単語、しばしばフランス菓子のレシピなどで耳にしますが、légerèreとは軽いを意味するそうです。もったりとしたカスタードクリームに、ふんわりと泡立てた生クリームを合わせて、その名の通り、口どけのよい軽やかなクリームに仕上げます。

古典菓子のフレジェでは、カスタードクリームとフレッシュバターを合わせましたが、上記のクレームレジェールの台頭により、フレジェのサンドクリームは「軽い」クリームと名打たれたのではないでしょうか?

プラリネノワゼットのムースアレジェ

自家製、粗挽きのプラリネノワゼット、ヘーゼルナッツペーストをブレンドしたベースに、ゼラチンを溶解した牛乳を注ぎ入れて乳化させながら混ぜ合わせていきます。
上質なナッツは油分もリッチなので、固形分と油分が分離しないよう、乳化させながら丁寧に混ぜ合わせていくのです。

軽い口どけ、油分は控えて仕上げていくことで重たく感じがちなノワゼットの味わいを感じやすくさせるのがレシピ構成のポイント。
極力シンプルな構成にする事で、素材の味わいがストレートに感じられるのです。

クレームレジェール、レモンとミルクチョコレートのキャラメル、ノワゼットムースの順に組み立て、クリスピーを伸ばしたビスキュイパンドジェンヌをセットします。

切り分けた断面。
キャラメルとチョコレートはしっかりと乳化させますが、レモンジュースは混ぜ合わせるだけに留め、適度なソース状のゆるさをに仕上げています。
クレームレジェールにはアーモンドのビター香、ヘーゼルナッツのムースアレジェは甘さも控えた構成なので、パンチの強いレモンとキャラメルのフレーバーを、クレームレジェールと一緒に包み込んでくれる役割があるのです。

デリスシトロンキャラメルは、鮮烈なレモンの存在感をキャラメルとの相乗効果により引き出されていることに注目ください。
そしてそれは、今の季節だからこそ味わえる、旬の味わいであることもぜひ感じ取って頂きたいのです。

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