サステナブルなカカオに対する支援が生み出したカカオのフレッシュなアロマと赤ワインが生み出したババショコラは父の日のオススメの一品です
まずは今回の構成の要となるチョコレートについて。
#カカオのフレッシュなアロマ。単純でありつつ、どう説明するべきか。まだ熟成の進んでいない、若い=フレッシュな赤ワイン。グラスに注ぎ入れ、ボウルの周りをサラサラと流れる。熟成の若いものは軽やかな印象を与えてくれます。この新しいチョコレートの詳細をぜひご覧ください!こちらから
この軽やかなカカオのアロマは、74%の配合にもかかわらず、カカオの重たさよりも、サトウキビの軽やかなキレの良い甘み、スッキリとしたカカオの酸味は、カカオのアロマを表現する際多用される黄色い果実のニュアンス。
ペアリングというものが一般的に定着しつつある昨今、フレッシュなカカオのアロマを喩えたチャーミングな赤ワインのフレーバーとアロマにペアリングをさせる。直接的よりも間接的。実験的要素の強さは否めないながらも、自身の感じる直感を信じて組み立てた、想いの詰まった新作でもあります。若干、チョコレートの話から脱線しつつあるのですが、この新しい刺激的な素材のポテンシャルを引き出す術を、長い時間をかけて色々と紐付けてきた結果、
ワイン
ショコラ
アペリティフ
この三つのワードが交錯し続けました。
さらにこれらをそれぞれ紐解いていくと、
ワイン=スリーズ(さくらんぼ)が旬なので、素材とのペアリングを意識すると必ず取り入れたい食材。
ショコラ=カカオのフレッシュなアロマがはっきりとしたニュアンスのハイカカオのブラックチョコレート。ノワールらしいキレのある味わいは、ミルクやホワイトには出し得ることが出来ない特性。そしてひとつのケーキとしての核になる存在。
アペリティフ=おうち時間の増加に伴い、愉しみの一環として、「お酒と一緒に楽しめる」がコンセプトに。前述の食材をうまくつなげつつ、楽しみの時間の助力ができればと思います。
父の日のギフトとしても、楽しんでみてはいかがかと思います。
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サスティナブルなチョコレートに対する取り組みと、持続可能な季節限定のカカオの美味しさへの探究
まず最初に、ペルシュの定番商品のガトーショコラガーデナーが有りますが、カカオトレースという、ベルコラーデチョコレートブランドを保有するピュラトス社独自のサスティナブルな生産支援の取り組みへ賛同し、使用しております。これについての詳細をこちらからご覧いただけます。
ハイカカオのブラックチョコレートを、6月に食す。チョコホリックでもなければナンセンスな響きかもしれません。しかしながら、そのアロマの華やかさ、香り高さのポテンシャルは鬱蒼とした時期でもストレスなく喉を通ることではないか?ということです。
ぜひこの作品を愉しんでいただく際は、このチョコレートの美味しさに全集中してみてください。それではその製法を解説していきます。
軽いチョコレートクリームの仕込み
アングレーズベースを炊き上げ、溶かしておいたチョコレート、60daysに注ぎ入れます。
乳化のオペレーションは必須。ふんわりと軽い食感のチョコレートムースに仕上げるため、水分量も空気も増えるため、油脂分の分離が無いようきちんと行います。
卵白には水あめと転化糖(トリモリン)を加えて火にかけながら溶かして温めていきます。(ボイルメレンゲ)殺菌と加熱によるメレンゲの強度を強くする効果があります。
熱の取れたメレンゲ、泡立てた低脂肪ホイップクリームをホイッパーを用いて合わせ
チョコレートのアングレーズベースと混ぜ合わせます。このときはゴムヘラでチョコレートの比重を利用して軽いクリームと重たいクリームを返すように。ここでも混ぜすぎが目に見えない部分での分離を引き起こす要因になる。と考えています。ホイッパーでの混ぜ込みは、遠心分離のような状態になりかねないのでは?と思うのです。
ムースショコラにはバニラの香りを移したアングレーズクリームをドロップ。間接的に甘い香りを忍ばせ、チョコレート本来の美味しさはもとより、その香りをダイレクトに感じて欲しいので、ムースショコラには追加素材は加えませんでした。
一旦冷やし固めて、シリコン型から外しておきます。
パータババショコラの仕込み
最初にチョコレートガナッシュを仕込みます。
前述の、フレッシュなカカオのアロマはさておいて、意図的に発酵プロセスに組み込む辺りが捻くれ者を露呈。ではなく、同じチョコレートなのに、工程の変化で味わいにも変化が生まれたり、香りも変わったり。ひとつのチョコレートでありながらもその潜在能力の高さを感じてもらいたい。実験的なニュアンスも含んでいます。
ガナッシュを仕込む際、忘れてはならないのが乳化作業。例外なく乳化オペレーションは必須です。
ドライイースト、塩、グラニュー糖を室温に戻した全卵に加えて溶かし込んでおきます。
小麦粉(NIPPN エクリチュール。フランス産小麦を国内加工したもの。薄力粉に分類されます)に少しづつ注ぎ入れながら練り合わせていくのです。
歯切れの良い、シロップの吸い込みばかりに注視されがちなパータババではなく、チョコレート入りのリッチな味わいを同時に楽しんで欲しいので、意図的に「ホールド力」の弱いババを仕込んでいます。
練り込みながら、イーストの反応を手先で感じながら練り込んでいきます。
生地がある程度まとまってきたら、ガナッシュを少しづつ加えていきます。この時、ガナッシュの温度は室温であることが必須。イーストの活性化の温度帯も当然考慮しないといけないので、手早い作業が必須です。
ガナッシュのレシピ配分は、牛乳が多めなので、室温でも固化するスピードも遅く、生地の練り上げも落ち着いて作業できるのです。
生地がまとまった状態。例外なく生地をまとめて
45度程度に調温した溶かしバターを生地を覆うように注ぎ入れて、一次発酵を促します。
通常のパータババのように練り込みすぎない。通常だとバターを練り込み、さらにミキシングしていくのですが、生地の乾きを抑えるため、バターで被覆して発酵プロセスに移行します。
28°cで発酵を促します。大体2倍量ほどの大きさにまで膨らめば一次発酵も完了です。
ガス抜きをして、バターをよく馴染ませて生地をまとめます。
シリコン型に生地を分割して、再度発酵させます。
再度2倍程度の大きさになるまで発酵させれば完了。
200度のオーブンで焼成します。
焼き上がったババは、薄力粉ベースなので、ホロホロと崩れるような食感。そして加えたチョコレートの香りはカカオらしい酸味が共に香ってきます。
そしてこれにシロップを含ませていくのです。
ババに漬け込むシロップづくり
赤ワインでチェリーのアロマを代表させるもの(品種)といえば、ピノノワールが代表的でしょう。ただ、フレッシュな若々しいピノノワールには酸味と渋みがついてくるので、同じくガメイ種とのブレンドをセレクト。両品種とも熟成でこっくりとした印象を感じがちですが、ワインについて相談したレストランシェフからのアドバイスも有って、今回のワインをセレクトできました。 COTEAUX BOURGUIGNONS LA SUPERBE ROUGE (コト-・ブルギニヨン・ラ・シュペルブ・ルージュ)
ブルボンバニラのシロップを作り、室温で完全に冷ましたら、ワインを加えて仕上げます。
ここも通常のババと違った製法ですが、シロップを漬け込んでそのまま冷蔵で一晩寝かせます。
グルテン形成がしっかりしていないため、熱いシロップに潜らせる作業をするとババがボロボロに崩れてしまいます。とってもジューシーな、もろいチョコレートパウンド。そんな仕上がりです。
グラスにババをセットして、「アラキュイエール」のワインを注ぎ入れておきます。
ジュレドゥスリーズ
サワーチェリーにミュスコバドシュガー(サトウキビ糖)、トップノートにやさしく突き抜けるシナモンの香りを、スティックで抽出します。
全ての材料を加えて、シロップが50度程度になるように調節して煮込んでいきます。
ゼリーにピューレを加えるレシピは当然ありますが、ここで目指すパーツとしてのそれは、ババに含ませたピノノワールとガメイのフレーバー。それを印象強くするためのチェリーのあじわいなのです。シナモンの香りもあくまで華やかを付け加えるため。
出来上がったジュレにはチェリーブランデーを少量加えて、チェリーのニュアンスをはっきりと決定づけていきます。
作品作りで心がけているのは、核となるあじわいのボリューム感。そして複雑になりすぎないあじわいの構成。
今回いろんな組み合わせを紹介したように感じますが、あくまでカカオとさくらんぼ。このふたつをどう導いていくか?
そこにアルコールという、オトナ素材が加わったことで少々難解な表現が有ったかと思いますが、チョコレートを思わせないほどのスッキリと喉越し良く、満足度の申し分も満点な一品に仕上げるべく、ババというツールを用いたのです。
シンプルに赤ワインとチョコレートタブレット。なんて組み合わせを試してみたい。そんなスイッチが入ってくれたらそれはそれで満点です!美味しいきっかけづくりの足がかりになったのですから。
父の日も家族団欒、共通の話題がスイーツであることを切に願います。
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