新しいスタイルで提案するマロンカシスと小豆の和洋コラボ、定番のマロンパイはこだわりの手仕事で

実りの秋ともなれば、芋栗南京。それぞれスイーツの素材としてもふんだんに用いられます。
モンブラン、スイートポテト、かぼちゃのプリンなどなど、ペルシュでも秋の味覚の王道がショウケースを彩ります。

今回は2018年の秋の新作として、王道な組み合わせとも言える、マロンカシス、素材として、乳と相性が良いバターナッツかぼちゃを取り入れたハロウィン向けのスイーツを紹介します。

 

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定番の組み合わせマロンカシスに、和素材の小豆をペアリングさせる

小豆といえば、日本人なら誰でも思い浮かぶ、あんこの素材。つぶあん、こしあん、好みこそは分かれますが、お餅であったり、たい焼きだったり、「甘みのある」イメージを抱くのがほとんどではないでしょうか?

しかし生の小豆というか、糖分を加えない小豆そのものの味わいは、他の煮豆に比べると渋みや酸味が際立つ。と言ってしまうと少し乱暴ですが、それゆえに砂糖を加えて煮る。といった製法が根付いたのかもしれませんね。

私自身、洋菓子を作る仕事に身を置いているのですが、当然日本人として和菓子の存在をなおざりにはできません。むしろ常に敬意を払っています。
今回は渋みが一般的な味わいのイメージに登ってくるカシス、そして果実味としての酸味以外はすごく密接な味わいを含んだ小豆を一緒に餡に仕上げ、フレーバーのマロンと組み合わせる。そういったイメージを具現化したものです。
手間こそはかかりますが、小豆を煮立てて餡を練る。そこから生まれるインスピレーションをミルフィーユというポピュラーなカタチのスイーツに仕上げるまでの工程をまとめました。

小豆を茹でて餡に仕上げる

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小豆をたっぷりの水で煮ます。沸騰したら火を止め、蓋をして20分ほど蒸らします。煮汁を捨てます。
この工程を、渋切りと呼びます。ここで小豆は少しシワの寄った感じになるので、小豆が全体的にシワの寄った状態になるまで繰り返します。
和菓子で使われる餡には遠く及びませんが、渋切りはきっちりと行い、小豆本来の味わいと、カシスの風味をペアリングさせるためには欠かせない工程です。

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差し水を入れながらじっくりと茹でた小豆は指で潰してきちんと火が通ったのを確認してから、冷凍のカシスの実を加えて準備します。シロップに小豆とカシスを戻して混ぜながらシロップをからめて餡に仕上げていくのです。
この工程はさながらナッツのキャラメリーゼのようにも見えてきますね。

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シロップと馴染み、ブツブツと煮立ってきます。鍋底が焦げ付かないように、実が潰れないように注意しながら混ぜていき

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水分が飛んだところで火から下ろします。
小豆とカシスの味わいが互いを不思議な感じに引き立て合うのが一番わかるところでもあるのですが、糖分はここではかなり控えめなので若干渋さも感じるほどです。

小豆カシスジュレの仕込み

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カシスピューレ、水とグラニュー糖を火にかけ沸かし、ジュレデセールを加えて溶かしておきます。

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小豆カシスの餡にジュレのベースを加えて、餡の塊をほぐすように混ぜてから氷で冷やしながらゲル化を促し、冷やし固めて準備しておきます。

バヴァロアマロンの仕込み

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マロンペースト、マロンピューレを合わせておいたところに、炊き上げたアングレーズクリームを注ぎ入れて馴染ませ、マロン風味のアングレーズベースを完成させます。

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アングレーズクリームを冷却、泡立てたホイップクリームを合わせて完成。
先に固めておいた小豆カシスのジュレの上にバヴァロアマロンを流し入れて、スチームオーブンで焼き上げた共立てスポンジ生地をセットして冷やし固め、切り分けます。

アングレーズクリームの製法についてはこちらで紹介しています

両面をキャラメリーゼして仕上げたフィユタージュ(パイ生地)に、マロンクリームを塗り広げて、カスタードクリームを絞り出し、切り分けたバヴァロアマロンを配します。

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ミルフィーユマロン小豆カシス

カシスと小豆を組み合わせることで、深みと奥行きのある味わいに仕上がった紫のジュレ。フレーバーとして丸みのあるマロン(ここではフランス産のものを使用しています) で構成することで、より奥行きのある味わいに仕上がりました。少々難解な響きの菓子かもしれませんが、じっくりと味わっていただければと思います。

かぼちゃの味わいの個性を使い分ける

 

 

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パンプキンティラミス
ハロウィンのデザインをあしらった、カップ入りのデザート。柔らかな食感のお菓子を組み立てる際、有効な手段としてもカップは活用できるツールのひとつですね。

バターナッツかぼちゃ。

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ひょうたんのようなシルエットですが、その味わいはとてもシルキーで、ポタージュ向けではないでしょうか。もちろん、乳との相性も抜群です。
ペーストにしてから2〜3日冷蔵保存すると、デンプンが糖化して、より甘みのある味わいに仕上がります。

火入れしてペースト状にしたバターナッツかぼちゃ。鮮やかなオレンジ色と、なめらかな質感が見て取れます。

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バターナッツかぼちゃは、炊き上げたアングレーズクリームと合わせてバヴァロアに。コーヒー風味のビスキュイダマンドを(下段)
なめらかな食感のマスカルポーネのムース。ビスキュイジョコンド(中段)
球状に仕上げた信州産栗かぼちゃのパンプキンクリームとミルクチョコレートのホイップクリーム(上段)

パンプキンクリームの詳細はパンプキンモンブランの投稿を参考に。こちらから

ハロウィンシーズンを控えて、デコレーションにはそれらしさを盛り込んだのですが、味わいにはかぼちゃの異なる味わいを取り込んでいます。
素材をイチから最適の状態に導くのは大切なことです。

秋の味覚の定番も順次ご用意しています

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富津の金時プリンとキャラメルタルトレット

地元福井県、あわらの富津金時をペースト状に。プリンとタルトレットをひとつに組み合わせたさつまいも好きにはきっとたまらないスイーツでしょう。
詳細は過去に発表したお芋のプリンアラモードを参考に。こちらから

西郷栗のマロンパイ

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昨年、西谷マルシェ用に限定で発表したマロンパイを、週末限定で販売します!
平釜で焼成、コンベクションオーブンでしっかりとフィユタージュの水分を飛ばしつつも、パイ生地に閉じ込めたマロンクリームはしっとり、味わい豊かに広がります。

西谷マルシェ、マロンパイの紹介をまとめたブログ記事です。こちらから

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