2019年ペルシュバレンタイン新作チョコレート

バレンタインといえば、まだまだ男性的なイメージも根強いのではないでしょうか?
異性にプレゼントをする風習としてのバレンタインをフォーカスして考えた時に、お酒の効いたというワードが挙がります。(特にこの季節は!でもその逆のお酒全く無理!なんて要望もあったりするのです) 

どういったお酒を使おうか?
企画の段階でいろいろ考えながら、お酒が並ぶラックを眺めていると、実にいろいろなボトルがあることに興味がそそられ、女性好みのキャッチーなデザインをもちオーフにしたマトリョーシカがアタマをよぎりました。
イラストは毎回ペルシュでオリジナルデザインを企画する際に依頼するイラストレーター、Sao氏の作品。今回も伝えたイメージ以上の仕上がりになっています。

いかにもちょっとお高そうな、おウチの棚の隅に鎮座するV.S.O.Pなんかが入っていそうなお酒の箱をイメージしたのが、今回のチョコレートコレクションをを収めた桐箱。

ウイスキー、ラム、ビール、ブランデー、ワイン。
あまりにもメジャーなお酒を一堂に集めてチョコレートと組み合わせた2019年のバレンタイン新作。
今回はお酒と組み合わせる素材の相性の良さを主体に考えて、チョコレートはブレンデッド(単一品種カカオではない)のカカオのものも多用しています。

coffret 5 chocolats

洋酒と副素材、そこに最適な味わいのチョコレートをブレンドして仕上げたチョコレート。
「宝石箱」を冠した、特別なチョコレートの詰め合わせにはアルコールを忍ばせています。
以下に五種のチョコレートの個性を書き記しましたのでご一読くださいませ。

今回の制作についての思いの丈をブログで綴ってみました。こちらから

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お酒とチョコレート、副素材とのマリアージュ

ウイスキー&マロン

今回のバレンタインコレクション作成のきっかけになった組み合わせ。

最初にフランス産マロンクリームと生クリームを一緒に火にかけ沸かします。

マロンクリームは糖度を控えたタイプで、バニラスティックの香りを加えたものを使用します。

ミルクチョコレートはカカオ分34%、スイスチョコレートブランド、カルマ クレアーをセレクト。
モルトエキスを含んでいるのが特徴で、少しクセのあるクリーム感が印象的。

シングルモルトスコッチウイスキー、オーヘントッシャンを加えて、ガナッシュをなめらかに整えます。
最後にバターを少量加えて混ぜ、ミルクチョコレートで作っておいたシェルに絞り出して仕上げます。


ラム&レーズン

お酒を効かせた、といえばこの組み合わせを超えるものがあるのだろうか?と、思わず問いただしてしまいそうです。
昨年人気を博した、トリュフモンテにラムレーズンを加えたクラシックなスタイリング。

レーズンは湯通ししたら、100度のオーブンで水分を飛ばしてから、アルコール50%のダークラムに漬け込みます。2〜3日あれば十分馴染んでくれるので、使用前に余分なお酒をストレーナーで切ってから使用します。
トリュフ製法の詳細はこちらから


ビール&オレンジ
「ビールの花」とも呼ばれる、ホップの豊かな香りが広がるビールのオードヴィ。
上面発酵のエールを思わせるそれには、やはりオレンジの芳醇な甘みとのマリアージュが最適。

オレンジの表皮を削った生クリームを火にかけ温め、ハイミルクタイプのミルクチョコレートに注ぎ入れます。

ガナッシュをミキシングしたらオードヴィを注ぎ入れて、再度しっかりと混ぜ合わせます。
通常のガナッシュよりもアルコール分を多く加えるので、仕上がりは少しねっとりクリーミー。
乳化作業はよりきちんと行います。

ガナッシュを切り分け、テンパリングしたチョコレートを上掛けしたら、オレンジのトランシュを切り分けたものを表面に乗せて仕上げます。


アルマニャック&プルーン

ブランデーのふくよかなボディ感を引き出すには、やはりプルーンが最適ではないか?
イメージの具現化に苦労しましたが、アルマニャックに漬け込んだプルーンの味わいを存分に堪能できるように工夫を凝らしました。

プルーンはシロップで茹でて、柔らかくなったところでアルマニャックを加えて室温で一晩休ませます。アルコールの蒸発を考えてしまいますが、シロップの温度は熱いうちに加えてしまいます。
ここでの目的は、アルマニャックの旨味をプルーンに移すことなのです。適度な糖分を加えることで、お酒の持つ糖度との馴染みもよくなるのです。

プルーンをシロップから引き上げ、シロップにグラニュー糖とペクチンを加えて煮詰めます。プルーンのエキス分と、アルマニャックの旨味が凝縮された味わいに仕上げていくのです。

104度まで温度を上げたら火から下ろして、室温で粗熱を取り、アルマニャックを加えてカードルに流し入れます。
冷暗所で一晩かけて落ち着かせてから、ガナッシュを流して2層構成のチョコレートに仕上げていきます。

樽香を意識した味わいのガナッシュに仕上げたいので、ウッディなニュアンスのある、中米のカカオのチョコレートをセレクト。ダークチョコレートとミルクチョコレートをブレンドして、奥行きのあるフレーバーを目指します。

アルマニャックを加えたら、温度を調整してからバターを加えてなめらかにし、プルーンのジュレの上に流して結晶化させて切り分けます。

漬け込みで使用したプルーンの水分はあらかじめ切っておき、ミルクチョコレートでコーティングして仕上げます。


ゲヴェルツトラミネール&ピスタチオ

アルザス白ワイン、ゲヴェルツトラミネールとピスタチオの組み合わせ。
ピスタチオのガナッシュに、くるみのプラリネとピスタチオペーストのクリスピーを合わせました。

ピスタチオペーストのみでは少々単調な味わいに陥るので、キャラメリーゼして挽いたくるみのプラリネをブレンドします。

プラリネと溶かしたチョコレート、カカオバターを合わせてテンパリングを取り、カードルに流し入れて結晶化させておきます。

生クリームとピスタチオペーストを合わせて火にかけて温めたものと、溶かしておいたホワイトチョコレートを合わせてガナッシュに仕上げます。
ピスタチオの油分が多いので、乳化作業は少し作業性が悪いですが、時間をかけて丁寧に仕上げていきます。

「マール」と呼ばれる、ワインの蒸留酒を加えます。アルコール度数も40度以上あるので、しっかりとした風味が残ります。
油分のしっかりとした、フレーバーも個性的なピスタチオにはキルシュが定石ですが、新たな定番の組み合わせとして定着しそうな味わいです。

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