特別と呼べるモンブランをイチからつくる

モンブランといえば、日本ではスイーツの知名度、人気ともに1、2位を争うほどではないでしょうか。

ペルシュでもモンブランは通年商品として並んでおり、宮崎県西郷村で収穫、選定、加工までを栗農家さんたちの手で一貫して行っている和栗を使用しています。
昨年、ご縁あって長野県の栗産地、小布施町で出会った栗を用いてクリスマスケーキを発表させてもらいました。そして今年、生育が少し遅めでありながらも小布施から直送された栗を用いて、今までにない特別なモンブランを作ろう!という意気込みのもと発表したのが、タイトルにもある特別モンブラン。なお、投稿の後半では旬の葡萄を使った季節のタルトも併せて紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

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栗の渋皮煮、ペーストを手作りする

自分自身、20数年菓子業界に身を置いていますが、意外にも和栗のモンブランが世に現れたのはまさしくこの20数年程度だと記憶しています。
そして、あの黄色い栗甘露煮も渋皮煮の栗も、当然和栗だと思います。(原料の栗は海外、加工は日本国内。はここでは除外)なぜこの話か?というと、渋皮煮の栗というのを、フランスはじめとするヨーロッパ産のものを今まで見たことがないから。

「渋を抜く」行程は、餡子を炊くために必要な小豆、わらび、ゼンマイなどに代表される山菜を下処理する際にも用いられる作業ですね。

小豆を自家製で渋抜きして仕上げたスイーツ。ペルシュ過去リンクからご覧いただけます
日本産の栗で日本人がつくるモンブランなので、その山の中心には自家製で仕上げた渋皮煮した栗を忍ばせることにしました。以下に行程を簡潔にまとめたものを紹介します。

栗の鬼殻は、専用の器具を使って生のままの状態で使用します。便利なアイテムですのでリンク貼ります。こちらから

剥いた栗は一度流水で洗ってから、水から火にかけ、グラグラと茹で上がらない程度にして10〜15分ほどゆでこぼします。

アクが出るようであれば取り除き、ゆでこぼしたら、流水に晒しながら栗についた筋が取れそうであれば都度外していきます。
この作業を4回繰り返します。大体3回ほど茹でこぼすと、栗の茹で上がった香りも漂ってきます。渋みは完全に抜きたいので、プラス一回。それと別に重曹を抜くために一回。重曹不添加、という記述も見かけますが、茹ですぎて栗の風味が損なわれるので、渋抜きのためのアルカリ性は添加します。

栗の重量を計り、同量のグラニュー糖を用意したら、半量を加えてシロップ煮にしていきます。ここでもグラグラと沸かない状態を保ち、15〜20分程度煮込んだら、残りのグラニュー糖を加え、再度煮詰めていきます。

火を止めて蓋をした状態でそのまま一晩、ゆっくりと熱を抜いてから使用します。

マロンクリームをつくる

一般的な鬼殻ごと茹でて、中身を掘り出す製法ではなく、先に渋皮もすべて剥いた栗をスチームオーブンで蒸してから使用します。

カッターミキサーで栗とグラニュー糖を一緒に混ぜ合わせ、ペースト状に整えます。栗の風味を生かすため、添加するグラニュー糖の量は栗に対して3割に留めます。ホイップした生クリームを15%加えてなめらかさを整えます。

少し塩気のあるサブレブルトンを土台に、カスタードクリーム、渋皮煮の栗、糖分を加えず泡立てた九州大牟田産の高脂肪クリームを絞り出します。乳の甘みがしっかりと感じられる生クリームなので、無糖であっても乳風味が突出せずに栗の甘みを引き出す役目を果たしてくれます。
全体を覆うようにマロンクリームを絞り出して完成です。

現在(10月初旬を予定しています)は淡白な味わいながら、栗のでんぷん質の甘みをしっかりと感じられる、丹沢種の栗で仕上げています。
丹沢が終了すると、ミルクチョコレートのような濃厚さが広がる銀寄種に移行していきます。収穫の都合が合えば、異なる品種を同時期に販売することも検討しておりますのでご期待ください。

 

採れたて葡萄のタルト

 

同じく信州小布施でりんご、そして今回紹介する葡萄を栽培されている、川上農園様から直送していただいた葡萄を使ったタルトを紹介します。

 



黄玉葡萄のタルト

近年シャインマスカット人気で、白ぶどうイコール、シャインマスカットと言っても過言ではないかもしれません。しかし今回取り入れている黄玉は、糖度もかなり高くて甘く、何と言ってもジャスミン香がふわっと薫るのが最大の特徴です。

このぶどうの美味しさを引き立てるため、みずみずしいジュレを添えて、カスタードクリームを絞り出したタルトを土台にした構成で組み立てました。

ぶどうの薫るワインジュレ

ぶどうはナイフで切り込みを入れて、一粒づつ皮を剥いておきます。酸化による変色が早いので、ナパージュ掛けを手早く行う必要があります。

剥いた皮を水と一緒に弱火にかけて沸騰させます。弱火で温めることで香りを移します。

沸騰したら皮をすくい取って、グラニュー糖、アガーを加えてよくかき混ぜます。
粗熱が取れたら白ワイン(イタリア産シャルドネ種)を加え、冷やし固めて使用します。

ブラックビートのタルト

ぶどうらしいタンニンのコクと旨味が口いっぱいに広がる大粒ぶどう。香りはあまりないのですが、噛みしめると味わいがほどけて広がる印象です。

ワインジュレには、フランス産マディラン、タナ種の赤をセレクト。どちらのタルトでも気をつけていることですが、ジュレがぶどうよりもほんの少しだけ甘みを抑えていること。ぶどうをさらに美味しくするためのソースの役割なのです。

どちらも旬の時期の恵みを存分に引き立たせるように意識しての発表です。不定期販売ではありますが、ぜひともお試しいただければと思います。

川上農園さまのぶどう。こちらからご覧いただけます

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