シャンボールミュジニーとピュリニーモンラッシェ

ひとつひとつのお菓子にストーリーを持たせて。ただ漠然としたお菓づくりでは何の楽しみも感じられない。そういう想いが色濃くなり、その背景をどこかしらに書き綴る機会を設け続けてきたつもりです。今回もそんな気概でおります。

もともとマカロンのカシスに合わせるガナッシュ用のチョコレートを探していた折(MORINのチョコレートが入手出来なくなった)見つけたのが、WEISSEのアルタラ。タンニンのフレーバーが顕著のノワール(ブラックチョコレート)で、創作意欲も掻き立てられたのだけれど、なかなかカタチに出来ずに。。。

ピンときた方も多いかもしれませんが、シャンボールミュジニーはフランスブルゴーニュ、有名なワインの産地でもあり、女性的なニュアンスのやさしい赤ワインが印象的です。
ピノ・ノワール、と呼ばれる赤ワインに用いられる葡萄の品種で、味わいを表現する際に例えられるのが、ブラックベリーとカシス。このふたつのフルーツをバランス良く配合し、フルーツムース(卵黄を用いたアングレーズベース)に仕上げています。カシスの果肉を潰して加え、程よい渋みを表現しました。
ムースショコラは、カカオのフレーバーをしっかり感じてもらえる様にひと工夫。独特のタンニンのニュアンスがじわっと広がってきます。
二層のビスキュイショコラは、強力粉を配合した、噛む程に旨味が広がる仕掛けを。とてもほのかなシナモンのアロマを忍ばせ、赤ワインに軽く漬け込んだレーズンもジューシーなアクセントに一役買っています。
自分の中のイメージを具現化させるため、少々苦労しました。

そして、どうせなら?バージョン白ワインも作っちゃえ!みたいな勢いで挑戦したのが、これまた手をこまねいていた素材の探求の賜物。白ワインを表現する際に欠かせない「酸」イコール「ミネラル」を具現化した ピュリニーモンラッシェ。その味わいを表現するフレーバーとして挙げられる、青リンゴ、レモンのフレーバーを取り入れた作品です。
特に青リンゴという素材は、長野県小布施町で収穫された「グラニースミス種」を適材適所に加工して利用しています。

これまで行動制限を強いられてきた中で、どうしても「応えていく」ことが優先課題になりがちで殺伐とした感覚に陥りがちでした。

でも最近になって、能動的瞬間というものがありがたいことに再び訪れるようになりました。でもそれって、周りとの衝突でもある事であると承知の上でのことです。新しいことって固定概念の枷を外すところからのスタートなわけですから。(いずれブログで触れたいですね)

今回は、素材を掘り下げる。ということに重きを置きながら、ワインという恐れ多くもたくさんのファンがいらっしゃる世界観を、ガトーで表現する暴挙に売って出ました。
タイトルの解説ですが、共にフランスブルゴーニュ地方のワインの名産地を掲げました。
自分の持ち合わせるlikeを前面に打ち出した力作たちです。念のためですが、アルコールの効いたお菓子ではありません。風味付けに少量使っているだけで、いつものペルシュらしさが感じられるお菓子だと思っています。

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赤ワインのニュアンスを表現した、カシス&ブラックベリーのチョコレートケーキ

 

カシスとブラックベリーのフルーツクリーム

酸味、渋味、甘味。
いろんな味わいが複雑に織りなすのが赤ワインの個性とも言えるかもしれません。ある意味複雑怪奇に捉えられがちですが、アルコール熟成という枷を取り払えば美味しさの奥深さを表現するのが容易になる気がします。

甘味と香りの強いブラックベリー、酸味と渋みのあるカシスをバランスよくブレンド。
フルーツピューレと卵黄、グラニュー糖をすり合わせてアングレーズクリームを煮上げます。

アングレーズクリームにする事で、フルーツと卵黄が乳化状態になり、果実味に関して言えば少しおだやかな印象になります。
これではおとなしい印象(まとまりが良すぎる)もっとタンニンのニュアンスを表現したいので、カシスの実を加えて、果肉の3割程度を潰してジュースを押し出すイメージです。もちろん召し上がっていただく際、噛んだ時に果肉からジュースが出てくるのも狙いのひとつであるのです。

ビスキュイショコラは、全卵共立てスタイル(ジェノワーズ・スポンジ生地などの製法)で、強力粉も配合しているのでもっちりとした噛み応え。少量のシナモンも加え、香りの深みも演出。
(このビスキュイが個人的推しで、どうやって世に放とうか思案していたのも運命的ですね)

レーズンは甘みの強い、フレーム種を湯通ししてからタナ種の渋みを強く感じる赤ワインでマリネしてから使用します。
ビスキュイ全体に散らして焼成します。

フルーツクリームのモンタージュを終え、ビスキュイを敷き込んだところに、カシスとブラックベリーのピューレ、糖分を調整したシロップを塗り広げておきます。赤ワイン、というテーマ性を明確に、瑞々しさを感じさせるためジューシーな層を組み込んでいます。

ムースショコラの仕込みでは、最初アングレーズクリームベースを構成に考えていたのですが、濃厚な口溶けが少し重たい印象になるとイメージが違う気がしたので、空気を含ませることでバランスを保つ手法に切り替えました。

レシピ構成は完全にアングレーズクリームのそれで(*アングレーズベースは牛乳、クリームなどが多く配合される。とろりとした食感に煮上げる。一方、パータボンブはシロップを注いで卵黄を泡立てるので油分も軽減されて軽くなる)製法はパータボンブのやり方。

アングレーズベースを湯煎で泡立て、ミキサーでふんわりさせる。なめらかか?ふんわりか?ここでもレシピ構成の個性が問われる部分です。

タンニンのニュアンスが際立って感じられるノワール(ブラックチョコレート)には、沸騰させたフレッシュクリームを注ぎ入れ、乳化状態へ導きます。

十分に泡立った卵黄のベース、パータボンブは荒熱が取れた状態でガナッシュと混ぜ合わせていき、乳化温度も並行して意識しながら合わせていきます。

泡立てたフレッシュクリームと合わせたチョコレートムースをカードルに流し入れて、ビスキュイでフタをします。
底面にはテンパリングしたブラックチョコレートを塗り広げ、冷やし固めてからグラサージュで仕上げて完成です。

 

白ワインのミネラルの心地良さを追求した青りんごとレモンの酸を表現したガトー

ピュリニーモンラッシェ

 

小布施町産グラニースミス種のりんごは加熱に弱い様で、火入れすると煮崩れしやすいです。土台となるタルトダマンドの焼成の際、皮をむいて千切りした状態にして、生地の表面に均等に並べて焼き上げます。りんごの水分が出やすい様に粉糖を振りかけて焼き上げます。

グラニーは爽やかな酸味とジューシーさが特徴的。ダイレクトに美味しさを表現するため、ジューサーにかけてピューレ状にします。(変色しやすいので真空ミキサーを使っています)
総量の20%ほどは皮付きのままピューレ状にすることで風味がよりしっかりします。

ゼラチンとピューレを合わせ、白ワインのピュリニーモンラッシェを加えます。

フレッシュクリーム、少量のイタリアンメレンゲを加えた、すっきりと軽い食感のフルーツムースに仕上げます。

レアチーズクリームは、酸味のあるフロマージュブラン、すっきりとしていてキレのある味わいの、九州産の生乳で仕込んだクリームチーズ。乳味のあるマスカルポーネをブレンドしたレアチーズクリームを「ボディ」として構成しました。
チーズを使いながらも、塩気や乳酸は極力控えたブレンドにすることにこだわり、合わせるレモンの酸との調和に努めつつ、コクのある味わいを目指しました(長くてややっこしい)

ここでもチーズが重たくならない様、卵黄は泡立てるスタイルのパータボンブを加え、深みを持たせた味わいに仕上げました。

ちょっぴりオイリーなシャルドネを意識したところも、チーズクリームをセレクトした理由です。

口溶けの軽い、りんごの酸から、チーズのボディ感、レモンの爽やかさも追いかけてくる。ワインの感じ方のそれとは少し違ったニュアンスですが、似通ったところには行き着いたと思っています。
当然、ガトーとしての満足感も大切なので、タルトダマンドを土台に据えたわけですが、今一度りんごの味わいが追いかけてくるところが気に入っています。
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