節度あるガトーショコラ、ショコラクラッシック レゾネ Chocolat clasique raisonnee

ペルシュシェフが手がけた伝統菓子の継承、ショコラクラッシックを現代風にアレンジしたショコラクラッシックレゾネが今秋も登場しました

ショコラクラッシックレゾネ

レゾネとは、「節度ある」を意味し、今まで当たり前の様に用いられて来たフレッシュクリーム、卵黄、バターといった、いわゆる「油脂分」をどれほど削除出来るか、はたして「過度」に含まれる油脂分とは?に向き合ったお菓子です。

つまり、古典菓子では満足度を追及してきた結果、リッチに仕上げること。味わい深さの追及。これらに重きを置いて突き詰められてきたとも言えるのです。
ショコラクラッシック、日本ではむしろガトーショコラの方が名前の響き含め認知度も高いですが、両者の明確な違いはないようで、せいぜい名前の由来処の違い程度らしく、チョコレートのガナッシュに卵黄とバター、メレンゲ、ココアパウダーと少量の小麦粉、またはコーンスターチを混ぜ合わせてオーブンで焼き上げるといった製法。
そして粉糖を振りかけて、ホイップクリームをクネル状、ラグビーボール形にして添えるシンプルな仕上げがオーソドックスですね。
これらの当たり前を踏まえての新しいスタイリングのガトーショコラのセオリーを紹介します。

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動物性脂肪を削除して焼き上げるケーキのスタイリングを考える

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もちろんホイップクリームを添えるのでできあがったら冷蔵保存。前述の油脂分は冷蔵すると冷えて固まりますよね。動物性油脂のフレッシュクリーム。すなわちこれは牛乳の乳脂肪なので冷えると固まりますし、フレッシュバターも同様に、冷蔵保存で硬くなります。

ガナッシュを作る際に加えるフレッシュクリームは、セオリーとして高脂肪で「コクを出す」目的とされてきました。しかし「レゾネ」では豆乳を使ってます。大豆由来なのでもちろん脂肪分も減りますし、焼き上がりの味わいも重たくならずに、後味が軽くなります。さらに、豆乳には大豆レシチンという、油脂分を乳化させる物質も含まれるので、実はチョコレートとの相性は非常に良く、チョコレート本来の味わいを損なうことも感じられません。
バターの代わりに加えたものは植物性オイルのサンフラワーシードオイル。無味無臭であることと、なによりヒマワリってすごくプラスなイメージというか、陽に向かって咲く。そのままですけど、どうせならケーキの陽のイメージにそぐうものがイイかな、と思いの丈を込めた選択です。

サラダ油でも(菜種油)でも同じですが、液状なので冷えても固まりません。一部ナッツ系オイルは少しドロっとしますが、植物性オイルに特化しているのは、この流動性。バターでは不可能な物性変化なのです。
玉子でもゆで卵にすると、卵黄。黄身の部分はカチカチになるので、加える量も30%程減らしました。しかし卵黄にもレシチンが含まれ、乳化に強く影響するのですが、豆乳の乳化力が加わっていることで、余剰な油脂分の卵黄を減らしつつ、メレンゲとして使う卵白の量は増やしました。
卵白の成分はほぼ水分と少量のたんぱく質。焼成というプロセスにおいて、卵白というのは非常に重要な役割を担います。メレンゲの量が、オーソドックスなガトーショコラよりも多いのは、卵黄を減らした分を補うだけでなく、柔らかで軽い食感を得ることにもつながっているのです。
このように素材を置き換えることで生まれた結果、冷蔵しても柔らかいガトーショコラが焼き上がりました。当然ながら、室温にて戻して食べる事であれば、クラッシックなガトーショコラでも同じくらいソフトな食感ですが、一番の変化は味わいと香り!
チョコレートとカカオの風味が口に入れた途端に広がる。あまりにも普遍的な表現ですが、素直にストレートに表現すると正にこれが相応しいかな、と。「過度」に含まれた油脂分を排除したことで、今まで当たり前に感じていた「普通」に新しさが生まれた結果とも言えますね。いかに過度な油脂分が味わいと香りをマスキングしていたかという事にも繋がりますよね。

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そして今回のこだわり食材。

ペルー産シングルビーンのチョコレート。単一品種のカカオ豆からコンチングされたチョコレートを使用しています。もっぱらコーヒー豆では単一品種のものを使う風潮が根付いたようで、チョコレートも今後このような単一品種のものがより好まれる傾向になるものと思われます。ペルー産トリニタリオ種カカオの持つ酸味がはっきりと感じられる、ビターテイストをはっきりと打ち出せる味わいは、このガトーショコラの味わいそのものです。

有機豆乳。オーガニックカカオパウダー。サンフラワーシードオイル。
こうして並べると植物性油脂ばかり。鶏卵だけが動物性油脂ということです。

あくまでこのガトーショコラが完全なる健康志向を狙ったものではなく、油脂のマスキングが及ぼす、素材の味わいをぼやけたものにしてしまう現実に対峙したものであるということです。

 
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飾りに使用する、チョコレートディスク。出来うる限り薄い状態に、まだらに伸ばして、軽やかな味わいであるということを表現しています。光にさらせば透き通って見えるほどがイメージです。

 

 

このように節度あることと向き合いながら、最近のお菓子づくりに反映させてきましが、このショコラクラッシックレゾネが自分自身にとっての真のオリジナリティーの追及の始まりとなった、思い入れの深いお菓子です。深まる秋にカカオの深みを感じていただきながらお召し上がりくださいませ。

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アントルメ(デコレーションケーキ)でも期間限定でお楽しみいただけます。詳細はこちらから

動画にて製法を紹介しています。併せて御覧ください。

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