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チョコレートケーキの王様、ザッハトルテを夏に食す。

ザッハトルテ。チョコレートとバターを合わせて、メレンゲと小麦粉を合わせて焼き上げる。どっしりとした味わいの、濃厚な生地の間にアプリコットジャムを挟んだ、チョコレートケーキの王様。との呼び名もつくほど、有名なケーキの一つと言えます。
味わいが濃厚なため、無糖のホイップクリームを添えていただく。というスタイルも、クラシックなスタイルであることがうかがい知れますね。

今回、季節を問わずにチョコレートホリックの方にとっては少々失礼かもしれませんが、伝統的なザッハトルテを一旦バラして再構築するという、新しいスタイリングを模索した末に完成した一品を紹介したいと思います。ただ、本当のトラディショナルなザッハトルテとは違い、ビスキュイサッシェを用いた前提でのスタイリングとなるので、あらかじめそこはご了承いただきたいです。

そこで今回の新作を紐解いていく前にぶつかる、素朴な疑問ですが、ザッハトルテのビジュアル。という以前に、色が白いんです。これは、チョコレートの風味を決定づけるカカオマスに由来します。要するに、ブラックコーヒーが苦味のあるもので、豆の味わいを素直に感じ取れる。ミルクを加えたカフェオレ。これなら幾分マイルドになる。砂糖を足せば甘くなるし、コーヒーをなくしてミルクだけにすれば当然ですが、牛乳になるわけです。アプリコットの酸味と、アーモンドの美味しさを主体に構成しつつ、カカオマスの深みは味わいの奥行きを借りる程度に留めて構築した、白いザッハトルテを提案します。





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軽やかな味わいのザッハトルテ

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生クリームにはスターアニス、グリーンアニスシードを加えて一緒に温めます。
沸騰したらラップ材で覆い、30分ほど置いて、香りを移します。

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裏ごして、カカオバターと合わせます。
カカオバターの口どけはゼラチンの固まり方と違い、チョコレートの口どけを表現できます。

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温めておいたマジパンローマッセに、カカオバターを合わせたクリームを少しづつ注いで馴染ませていきます。表面の粒々の色合いは、皮付きアーモンドが砕けた薄皮部分。自家製で仕上げたマジパンローマッセなので、糖分もアーモンドの品種も自在に調整できるのです。

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乳化させます。少しづつ生クリームを加えてその都度混ぜこむことで、次第に艶やかになっていきます。
ここで着目していただきたいのが、濃厚なチョコレートのガナッシュを模しているということ。アーモンドのビターな油分、カカオバターを組み合わせて、味わいの核に据えるのです。

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全てのクリームを合わせて、泡立てたホイップクリームを混ぜ合わせます。
マジパンの油分が多いので、クリームとの合わせは慎重に。分離をひきおこさないように注意します。

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口どけを良くするために、意図的に空気をたっぷりと含ませる。フレーバーがしっかりしていても空気の膜が濃厚な味わい、つまり油分を適度にゆっくりと溶かすように働きかけるので、「くどさ」を感じさせにくくしてくれるのです。
ソルベ、ジェラートに空気を含ませることで適度な柔らかさを持つそれをヒントにしています。

初夏の味わい、アプリコットコンポート

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アプリコットピューレにゼラチンを加えて温めます。

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コーンスターチとグラニュー糖を合わせたものを加えて、ふつふつと煮立たせます。

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刻んだアプリコットの果肉を加えて、再び煮立たせてから氷水に当てて冷やしたら

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冷やしておいたアーモンドクリームの上に広げます。
アプリコットの酸味を強調させた味わいに仕上げるべく、糖分は最小限に止めて、甘みや油分とのバランスを確立させています。

ベネズエラカカオのミルクチョコレートガナッシュ

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ここでようやく使用するのが、ミルクチョコレート。カカオマスにおいてはザッハトルテの場合だと、ブラックチョコレートを使用するので、当然控えめと言えます。チョコレートを使用することで得られる満足感を補助的に使用しつつも、きちんと主張するようにします。
チョコレートと低脂肪生クリームを同割で合わせて、柔らかな質感に仕上げます。

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ガナッシュにアプリコットの濃縮エキスを加えます。
ベネズエラカカオの持つ柑橘系のトーンと、アプリコットの酸味が互いを引き立て合います。

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二枚のビスキュイダマンドの間にガナッシュを広げてクロージング。
ビスキュイにもマジパンローマッセを使用していますが、溶かしバターを加えず焼き上げているので軽めの仕上がり。ここでもビスキュイサッシェのカカオパウダーを意図的に排除して、ライトな仕上がりに。

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マジパンローマッセと卵黄を泡立て、メレンゲ、小麦粉を混ぜ合わせたら、溶かしバターの代わりにオレンジジュースを合わせます。ふんわり感を損なわないように、生地の一部とジュースをなじませてから戻し、生地を焼成します。油分を減らし、アプリコットとアーモンドをつなぐ役割にも。

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冷やし固めたガトーの表面には、ホワイトチョコレートのグレーズを塗り広げ、切り分ければ完成。

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カカオマスを取り除いて仕上げることの意味合いは、熱量を落とすこと。つまり、熱量とは食べることで(消化することで)エネルギーとして身体が暖かくなることです。チョコレートが敬遠されることは、あながち生理現象としては間違ったことではないのですが、単純にこの季節は冷たいものを提案すればそれでいいのか?というのも今回のプロモーションに至った大きな原動力です。
はっきりとしたアプリコットの酸味と、アーモンドのコクと旨味。後半に口どけの遅いミルクチョコレートのガナッシュがじわじわと満足度を高めていく仕上がりとなりました。

ペルシュのザッハトルテについてはこちらのリンクで紹介しています

過度な油分を減らすことはペルシュのお菓子づくり理念のベースです。こちらからその代表作をご覧いただけます




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