福井県で食べられる季節限定サヴァランは白ワインと白桃の夏仕様

サヴァラン(またはババ)というお菓子。
ドーナッツ型によく似たサヴァランの型に、ブリンブリンに発酵させたイースト生地を絞り出し、水で濡らした指で型に生地を刷り込む様に整形して、ホイロで発酵させて。

焼き上がった生地は油で揚げずにラムのシロップに潜らせて。シャンティを絞ってシンプルに仕上がったそれには当時それほど魅力を感じませんでした。
イーストの取り回しもよくわかっていなかったのも勿論、やるべき、覚えるべきことが多すぎたせいもあったんでしょうね。。古典菓子をもっと吸収することができたら。なんて後悔もあったりします。正直。

最近、自分が食べたい。をアップデートしていくことが自身にとってのマイブームにも感じています。それが不思議とクラシックな味わいの古典菓子なのが偶然なのかどうかはさておきます。

前回、 父の日向けに発表した赤ワインを楽しむ、ババショコラ詳細はこちらからの構想段階から既に、白ワインのバージョンは然るべき。という気概でした。

この新作に取り組むにあたって、淡白な白桃の美味しさ、白ワインの「解析」で必ず登場する、白桃、レモン、白いお花などの、フレンドリーなニュアンス(親しみやすい、食べた時に変な個性を感じさせない)のものを取り入れながら、きっとぼやけてしまうであろう、白ワインの味わい。ここに何を足すのか?という悩みを直感で解決に導いたのがホワイトラム。
今回も自分の独自の世界観満載で製法を紐解いていくのですが、最後までお付き合いくださいます様お願いいたします。笑

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アルザスピノブランと白桃で仕上げるワインデザート

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ワインのコルクのように焼きあがった生地。いや、シャンパンのコルクが適切ですね。先ず初めに、このサヴァラン生地について紹介していきますね。

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生地の仕込みはブリオッシュ同様、フックをセットしたミキサーでしっかりと捏ね上げていきます。
薄力粉、強力粉を同割合で準備し、ドライイースト、牛乳、卵、バターを順に加えて練り上げていきます。

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つややかでしっかりとしたコシのある生地をつくるのが、「パータババ」のポイント。”シロップのホールド力”こそがサヴァランの生地づくりにおいて最重要ポイントです。通常のイースト生地ではグルテン形成についてこれほど躍起にならないはず。です。

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生地を時折引っ張り、網目構造を確認しながら、グルテンをしっかり出した生地に仕上げます。配合外で冷水を加えて硬さを調整することもします。シリコン型に絞り出せる硬さに生地を仕上げます。

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二倍くらいの大きさになるまで発酵させます。200度のオーブンで20分程度焼成します。シロップをたっぷりと吸い込む様に、しっかりと焼き上げます。

ピーチとレモンのバニラシロップ

レモンの果皮、ブルボンバニラを加えたシロップを火にかけ、沸騰させます。白桃のピューレも加えて、シロップにもしっかりと美味しさをプラスしていくのです。

シロップが沸騰したら、熱いうちにホワイトラムをシロップに加えて余計なアルコール分を飛ばします。

ホワイトラムはその特徴でもある「樽香」の代わりに、トップノートに感じられるほのかなエッジの効いた香草の様な尖り。引き続いてサトウキビの丸みが現れる。
今回の挑戦したい、白ワインのミネラルを感じ取れる「ババ」を制作するにあたって、不足するアルコール分の厚みをどう補うか?というのが発端。
結果を先に言ってしまいますが、アルコール分は高いとはいえませんが(一般的なそれら。サヴァランやババと呼ばれているものに比べて)、白ワインの味わいや風味を解析し、アルコールの尖ではなく、味わい深さやペアリングの醍醐味を感じてもらうところにあります。

焼きあがったババをシロップにしっかり浸します。この時シロップの温度は熱い状態で作業するのがポイント。

熱いシロップを染み込ませたババは二倍くらいの大きさにふくらみます。

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左側がシロップを吸い込んだもの。
右側はシロップに浸す前の状態。

グルテン形成を促し、目の細かい生地にすることでシロップを充分に吸ったジューシーなサヴァランを愉しめるのです。

 

”アラキュイエール”の白ワインにセレクトしたのは、TRIMBACHのピノブラン。口に含んだ時のファーストアタックのレモンの酸から、りんご、白桃へ順に変化していくフレンドリーなミネラルは、ホワイトラムとも調和性を感じさせてくれます。

白桃のコンポート

 

前述のピノブランを使用したシロップを、より豊かな味わいに導くためのコンポートペッシュ。
氷砂糖、レモンの輪切りを沸騰させてシロップを煮上げます。

湯むきした白桃を串切りしながらシロップに入れて、再度沸騰させます。

ブルゴーニュシャルドネの個性を、レモンと白桃で導く。ミネラルはやや強め。反して白桃には程よい酸味が加わり、より上質な果実の味わいに昇華した様にも感じさせてくれます。
室温で一晩休ませ、シロップと果肉に分けて使用します。

ムースペッシュの仕込み

ペッシュ=ピーチ。フランス語で桃を意味します。

ピューレはフランス産、冷凍のものを使用しますが、加熱、非加熱を使い分け、よりフレッシュな状態を味わえるオペレーションを取り入れます。

レシピ構成も非常にシンプルに。ピューレにはゼラチン、グラニュー糖を加え甘味を調整して、泡だてたホイップクリームとふんわり混ぜ合わせる。もものクリーム。という印象がそのままのフルーツクリーム。

シロップに浸したババの上に、乱切りした桃のコンポートを並べて、ムースペッシュを絞り入れます。

コンポートのシロップはジュレに仕立てます。

カラギーナンを使用して、ツルリとした喉越し良い食感に。コンポートの仕上げに加えた白ワインも加えてリッチな味わいに仕上げます。凝固剤、カラギーナンについての記載は同店のリンクで詳しく解説しています。こちらから。

ゆっくりと口で溶けるラベンダーはちみつのジュレ、コンポートのジュレとシャンティで覆った白桃、ムースとコンポートを食べ進め、ジューシーなサヴァランへと辿り着くのです。
伝統的なそれに比べると、ガツンとした感じが無く、もしかしたら物足りないかもしれません。冒頭に申し上げた「フレンドリーなニュアンス」を制作過程で感じ取り、それを大切にしたい。というのがこの作品に込めた想いでもあるのです。

信州あんずで仕込んだペルシュの2021年新作マカロン

ビターアーモンド、アーモンドミルク。。南フランスを彷彿させるフレーバリングは、サヴァラン制作過程で同等にインスピレーションをくすぐり続けた素材でした。
今年も不作。などと言われていて半ば諦めいた信州あんずが入荷してきたので、すかさず制作に突入して出来上がった勢い任せではない、緻密なマカロンです。

アプリコットのコンポートは、酸味のある小ぶりの品種をセレクト。
ビターアーモンドのフレーバーは杏仁霜で表現。バニラと一緒に砂糖と火にかけ、とろみが出るまでゆっくりと煮詰めておきます。

ガナッシュにはブロンドチョコ、ホワイトチョコレートをブレンドして。
フレッシュクリームにはバニラの鞘も加えて、ほんのりキャラメルのニュアンスも含ませます。

マカロンのコックにも杏仁霜をブレンドして焼き上げています。ガナッシュ、コンポートを順に絞り出してサンドしました。

冷凍の食材ではなく、必ず季節の旬の食材と向き合う。のがペルシュのお菓子に対してのこだわりと愛情です。
数量限定での提供もご理解頂けると幸いです。

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